建設工事保険、その対象や保証の範囲は?

建設中の建物や設備、作業現場に保管している資材が損壊したり、盗難された場合の損害を補償する保険です。言わば建築中の火災保険です。賠償責任保険は第三者に対しての人や物を補償する保険ですが、こちらは引き渡し前の建築物を自分の物と捉え、自分の物を補償します。
なお、「引き渡し前」、工事中の建築物が対象となりますので、竣工後に起きた事故に関しては補償の対象外となってしまうのでご注意ください。

 

建築工事保険の対象

前述した通り賠責とは異なり、この保険は物を補償するほけんであるため、人を補償することはできません。また工事終了後に起きた事故も補償されないため、以上の内容を補償するためには、別立てで賠償責任保険に加入する必要があります。
こちら踏まえた上で、建築工事保険の補償範囲について、簡単にご紹介いたします。

建設中の建築物…建築工事の補償対象をメインとなる補償対象の一つです。
通常建築中の建築物が火災や地震の発生により突発的に消失した場合、損害は事故負担となりますが、この保険に加入していた場合修復費等が保険金としてお支払いされます。

工事中の設備…建築物と同様、工事中に起きた突発的に起きた損壊を補償します。建築工事で行われる対象工事のほとんどは補償の対象となりますが一部の作業工事は、補償の対象外となるものもあるので注意が必要です。

工事作業現場に保管している資材や什器…作業現場では工事対象物意外にも、一時的に保管している資材等もあります。こちらについても作業現場に保管しているものに関しては補償されます。さらに資材に関しては火災や地震以外に、盗難のリスクもあります。実際に銅線などその物自体に金銭的価値がある資材が大量に盗まれるという事件も発生しております。

一方で第三者が簡単に進入し盗難ができてしまうような施錠されていない現場であったり、資材が剥き出しで作業現場に放置されている状態など、不測できる環境下にあった盗難事故は保険請求が不可となる場合がありますので、普段の防犯対策が重要になってきます。

元請けから支給されている資材や什器…支給されている資材に関しても補償の対象となります。
こちらに関してはさらに注意が必要です。というのも、万が一支給された資材や一時的にリースしていた什器が損壊したり損壊し、建築工事保険に未加入の場合自己負担となります。
また第三者のものという認識からか、賠償責任保険の補償になると認識してしまう方もいます。保険会社間とのトラブル発展するケースもしばしば見られ、一部の賠償責任保険では一部リース品も補償範囲内とする商品もありますが、特約として付帯させたり、建築工事保険でしか補償できないものもあります。曖昧になっている方はぜひ一度現在の加入状況を確認してみてください。

 

建築工事保険の金額期間

建設工事保険の保険金は完成工事高や工事の請負金額で決定します。
万が一事故が発生した場合、保険金は工事の現場復帰に必要な金額等から各保険会社が設定する保険金に、工事の完工高や請負金を掛け合わせた計算式に基づいて設定されます。その他にも事故の拡大防止に一時的に発生した費用や、現場に残存物がに残った場合の片付け費用もお支払いの対象となることが一般的です。

また保険期間は各工事の工期を補償をするタイプと年間の売上高に基づいて保険設計をし、1年間に行う工事を全て補償する包括タイプの2種類があります。
年間を通して絶えず工事を行う企業の場合、1年間にまとめて保険に加入した方が保険の管理が非常に楽と言えるでしょう。

万が一急遽工事が発生した場合に無保険期間が発生してしまいますとリスクが発生しえます。管理やリスクマネジメントの観点からも年間を通して多く工事を行なっている企業は包括で保険に加入することをお勧めいたします。
一方、主たる業務が建築工事以外であり、工期の短い物が年に数回のみ依頼発生ベースで工事業を行う企業の場合、経費削減を目的として各工事の工期毎に工事保険に加入するケースもあります。
やはり「無保険状態で現場が動いている」という。状況を避けるため基本的には年間包括で加入する方が望ましいですが、工期での保険加入の場合は担当している保険会社または代理店との綿密な連携が重要となりますので十分お気をつけ下さい。

こんな時は対象になるのか?「台風」「自然災害」

通常法人保険では自社の所有物を補償できるものは限られております。
火災保険や動産保険というものに当たるのですが、建設工事保険は先ほどもご説明した通り、竣工するまでの工事現場や資材を自社の所有物とし、その期間中を補償するものです。
性格としては火災保険に近い保険ですので、工事中の火災や台風・洪水などの自然災害が発生した際の損壊を補償します。

その一例として、

・建設中・設備設置中に台風の強風でそれらがとうかい・損壊した。
・機材を設置中、その機材に落雷し破損した。
・建築現場の資材が洪水発生により流されてしまい損壊した。

など、不測の事故に対しての補償をいたします。

ただし補償内容は保険会社によって予め自然災害を補償するものや、任意で選ぶ物もあります。加入検討の際は自然災害のどこまでが補償となるのか。確認をした上で検討されてください。

 

保険の適応外となる場合

特に注意していただきたい点として、下記の事故発生時は補償対象外となります。

・地震や噴火、またはそれらにより発生した洪水による破損・損壊。
・湧水発生による排水作業費や止水工事費用。
・寒気や霜、氷の影響で発生した損壊(※雹による被害は除きます。)

以上は自然災害ではありますが一般的に保険会社では免責、補償対象外となります。
事故発生時に役立つ建設工事保険ですが、決して万能ではありません。多くの方は補償される範囲のみは確認しがちですが、実際には保険金支払いの対象以上に、何が補償対象となるのかを確認することが重要です。

補償内容確認の際には必ず補償の範囲外になるものを確認し、それらの対象外の事象についてどのような対策を行うかが事故発生を未然に防ぐ、または被害を最小限に止めることに繋がります。

 

合わせて加入したほうが良い保険

作業現場では資材だけでなく重機の出入りも多いです。
多くの重機のうち、クレーンやショベルカーなど、キャタピラーのものやいわゆる緑ナンバーの付いているものもありますが、それらの中には自動車保険の補償対象外となるものもあります。

と、いうのも通常の自動車とは違い、重機自体の事故発生時のリスクや発生時の損害が異なるからです。そのため自動車保険の補償範囲ではカバーしきれないのです。
リース品である場合、賠償責任保険の補償範囲となるケースもありますが自社の所有物の場合は自社でカバーしなければなりません。

この場合は自動車保険ではなく、「動産保険」に加入する必要があります。もの保険とも呼ばれ、通常倉庫やビルなど固定されたものを補償する火災保険ではカバーできない自らの財産を補償するものです。動産保険は持ち運んでいる最中や使用中に発生した事故による破損、盗難や火災、台風などの風災、雪災も補償され、こちらも性格は火災保険に似ております。
自社の所有物が多い企業はぜひこちらもチェックしてみてください。

またこちらのもの保険、元々重機をリースしており、リースアップ後にそのまま購入し、自社所有となった場合に購入元で独自に保険会社と提携しパッケージ化された保険があるケースがあります。その重機に特化した独自の補償内容になっているものもあるので、「今はリースしているだけれど今後満期を持って購入を検討したい。」とお考えの経営者はぜひこちらの動産保険もチェックされてください。

 

建設工事保険のことなら、工事・建設保険プランナーへ

建設工事保険は火災保険と性格が似ており、また法人保険ということで賠償責任保険と混濁してしまうことがあります。
一つ一つの補償内容を把握し、自社の受け持つ工事のリスクが何か?それに適している補償は何?最もふさわしい保険をご提案いたしますので、不明点や御見積もりのご相談は我々工事・建設保険プランナーにご相談ください。